小咄


=江戸の小話

独り者で貧乏な医者がいた。

さる大店から呼びにきたので、しめしめ、と大喜び。

一人で行くのは、まずいと思い、

隣に住む与太郎を、お供にたのんだ。

「たっぷり礼はするからな。」

「まぁ、たのまぁ。」

「これ、与太郎。お前のなりは、あまりにもひどいな。」

「そんなにかぁ?」

「医者のお供としては誠に恥ずかしい、このバカヤロ!」

与太郎は、腰の汚い手ぬぐいを取って、頬かぶりした。

「これでいいだろ、さあ、どうでぇ。」

「その頬被りは、いったい何なのだ?」

「これでおめぇの供とは、見えめぇ!」

「...


<小話・笑話・小咄・98>


江戸の風景
川越祭りより 可愛いお多福さん

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小咄


=江戸の小話

小道具屋の店へ、侍がやってきた。

「これ、この徳利はいくらじゃ。」

「はいな、それは本備前で御座ります。」

「いくらだと聞いておる。」

「そうでんな、勉強して500文でんな。」

「な、なんと。家賃と同じではないか。負けろ。」

「いいや、これ以上は、負かりまへん。」

「なんだ、お前じゃだめだ。亭主は留守か。」

「わてが、その亭主だんな。」

「うそつけ!お前が亭主のはずがない。」

「何故、そういうんでっか?」

「亭主がいたら、負けてくれたろうが、そちではダメだな。」

「いや手前が主人でんがな。かなわんな。」

「ウソつけ、この前、来た時、200文で売ろうと言っていたぞ。」

「誰が?」

「さぁ、亭主を出せ!」

これを聞いた亭主は真っ赤になった。

「さあ、これでも亭主じゃねえか、このでく!」

と思い切り、かの徳利を地面に投げつけた。

「ぱりーん!」

そして、破片が飛び散り、他の備前に飛び火。

「ぱ、ぱりーん」

「うーッ、わん!がるる!」


<小話・笑話・小咄・97>


江戸の風景
戸越八幡神社より 狛犬

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小咄


=江戸の小話

五百体もの有り難い羅漢さんが鎮座する寺に、

吉原の新造とかむろが参詣した。

新造、羅漢の顔を見て、しくしくと泣いている。

「どったの、お姉様?ととさんに似てるの。」

「ううん。しくしく・・・」

「じゃ、愛しい愛しいお方?」

「ううん。」

「では、誰に?」

「わ、わちきを売った女衒に。」

「わーん!」


<小話・笑話・小咄・96>


江戸の風景
江戸は吉原 大門跡

吉原大門

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小咄


=江戸の小話

大事なお客と商談が終わり、食事が始まった。

「おーい、お花。酒を持ってこい!」

「旦那様、40文の酒、100文の酒、どちらでっか!」

と家中に聞こえるような大声で返事をした。

「あわわ、お花、ちょっと鯉、いや来い。」

旦那は慌てて、お花を外へ連れ出し、

「人のある所で、あのように大声を出すなんて、バカか、お前は!」

ときつく叱りつけた。

ある時、四歳になる長男が井戸に落ちた。

お花はゆっくりと静に歩み寄り、旦那の耳元に口を寄せて、ぼそぼそ話す。

「わかさまがな、旦那様。若様が、井戸へ落ちたぞな。」

「うへぇ!」


<小話・笑話・小咄・95>


江戸の風景
川越より 大沢家住宅(重文) 

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小咄


=江戸の小話

「乞食が朝から晩まで、入れ代わり立ち代わり来ていたが・・・」

「ああ、あれか?ないしょ。」

「そんな事言わずに教えろよ!1杯おごるからさ。」

「他の奴に話すなよ。」

「誰が、話すかよ!口はかてぇ。」

「あのな・・・、終わった節分の豆を買ってやろうと言った。」

「それで、乞食がひっきりなしに来てるのか?」

「もう、百石も集まったんじゃないか。」

「その豆を、なんにするんでぇ。」

「誰にも言うなよ。この豆で、豆腐を作るんじゃ。」

「馬鹿な事を言うな。煎った豆が、どうして豆腐になるんでぇ。」

「だからだぞ、いいか。よく聞け!だから焼き豆腐にするんじゃ。」

「はぁ!?」


<小話・笑話・小咄・94>


江戸の風景
川越 お菓子横丁

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小咄


=江戸の小話

ある人新築祝いに、近所の人を招待した。

酒宴たけなわに、女房が出て来て、挨拶をした。

「何も御座いませんが、新宅をご馳走に、お酒を存分に、ね。」

「いやぁ、何と立派なご普請ですな、うーい。」

「有難う御座います。これも、みんなご近所様のおかげです。」

吾作は、感心して、自分の女房に話した。

「あそこのおかみさんは、挨拶から何から、何まで本当にすげえ、立派だ。」

「あら、そうかしら?」

「本当に、おめぇとは月とすっぽんだわ、うーい。」

「なによ!そんな事ぐらい、あたしにもお茶の子よ。」

時が経ち、吾作に男の子が生まれ、近所の人を招待した。

「今日は本当にめでたい。お上さんもさぞお喜びでしょう。」

「貧乏で、何も御座いませんが、私をご馳走に、お酒をたーんと召し上がれ!」

「ご安産、さらに男の子とは、万々歳ですな。うーい。」

「ハイ、これも、みんなご近所様のおかげです。」

「ピュウー、ピュウー。」

「着物でも、脱ごうかしら・・・」

「おい、おい(^_^;)」


<小話・笑話・小咄・93>


江戸の風景
国立科学博物館より 江戸の女性

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小咄


=江戸の小話

「あわわ、わわわのわッ!」

「座高市、あわててどうしたのだ。」

「昨夜下野介様のお屋敷に呼ばれました。」

「それから?」

「夜半、浅井様の家中四十七人が敵討に押し込みました。」

「して、どうなった?」

「私もようやく屋根へ逃げて、命だけは助かりました。」

「敵討ちの首尾を聞いているのじゃ、このたわけ。」

「あわわ、失礼のわッ!下野介様は討たれました。」

「そうか、そうかの煎餅か?だが、どうもうまくない。」

「なにか?」

「盲目のお前が、何故、屋根に逃げた?」

「そ、そうなんですが、縁の下はご家中でいっぱい。」

「だはッ!」


<小話・笑話・小咄・92>


江戸の風景
江戸のお寺より 四十七士の墓が有る泉岳寺

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小咄


=江戸の小話

浪人のうっかり九兵衛、盗人が戸を開けるのを聞きつけた。

槍を構えて待っていたが、なかなか出て来ない。

そこで戸を入ろうとした所、急に鉢合わせた。

「わぁ!あわわ・・・」

慌てた九兵衛、槍を突くのを忘れ、

「ぐさり、ぐさり!」

と声ばかり。

盗人は逃げながら、

「だくだく、だく。」

「ぐさ!ぐさ!」

「ひらひら、だくだく。」


<小話・笑話・小咄・91>

江戸の風景
川越より 五百羅漢

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小咄


=江戸の小話

親父、観音様へお詣りし、一心不乱に拝んでいる。

「どうぞ、どうぞ長生きをお願いします。」

寺の小僧がいたずらに、百という字を書いて、

親父のわきにそっと置いた。

親父はこれに気づき、拾い上げると喜び勇んで家に帰った。

「観音さんから百歳までの寿命を授かったぞ。うおーっ!」

と喜び小躍りしている。長男はそれを見て

「あんまり、喜ぶことではないよ。親父じ。」

「じじだと!何でそんな事を言う。」

「百の字は分解すれば、一ノ日、すなわち一日だよ。」

と言えば、弟が口を挟んだ。

「兄貴だけだよ、そんなボケをかますのは。」

「何言ってんだい!バカにすんじゃないよ!」

「百はな、駕籠かき用語でころりだ。今すぐ、死・・・」

「出て行け!親不孝者!!」


<小話・笑話・小咄・88>

江戸の風景
川越より 川越観音 

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