小咄


=江戸の小咄

松の内、ある男、寒いので、酒を買う。

後で飲もうと、神棚に上げ、出かけた。

夜帰ってきて、神棚から徳利をおろし、

ワクワクしながら盃を出し、そそぐ。

ところが酒は一滴も出ない。

首を振りながら、貧乏徳利の首を振る。

徳利を逆さにし、底を叩くと、短冊が出て来た。

「多摩川に さらす手作り(手作りの布) さらさらに 

 なにそ このこの ここだかなしき(何と愛おしい)」

と書かれてある。

「はーはッ・・・。何だ、こりゃあ?」

短冊を何度もひっくり返すが、何もない。

「うーん、さけよー!酒ドロよーっ!」

今度は徳利を舐めたり、かじったり。

「ああ、あ!このヤロ!飲み(詠み)人知らず、うらみなしか?」

この男、短冊裏に返歌を書いて徳利に入れ、神棚に上げる。

「多摩川に なにさらすねん(大阪弁:何するんだの意) 

田作りか 肴だけ有り 心なしかな」 

そして江戸の一日は終わった。酒、帰ってきたりして。 


<小話・笑話・小咄・140>

江戸の風景

東博より 朝鮮唐津徳利


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テーマ : お笑い番組
ジャンル : お笑い

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No title

犯人は、貧乏神?^m^;

No title

最初の歌は万葉の東歌、よみひとしらずだと知っているが、

返しの歌も上手いですね。手作りとおせちの田作り、さらすと

さらすねん。よみひとしらずに飲み人知らず、面白い。

No title

よみひとしらず、うらみなし。

この東歌は知ってるけど、短冊のうらまで
理解するとはすごい。

No title

このことは、子か娘か酒壷の壷か?
いずれにしろなかなか深いですね。

No title

歌の素養がない自分には返歌以前に、(意)味が汲み取れない(笑

拍手

こんばんはです。^±^ノ

あらまあ。
お酒は飲まれちゃったのですね。^±^;
飲み(詠み)人知らずはよかったなあ。^±^;

どちらも粋ですね♪

短冊の歌をお礼?に徳利を空に。
飲まれてガッカリ!でも怒らずすかさず短冊に返歌を!
粋なやりとりです♪
できればお酒の返しも♪

No title

にゃあもさん

ああ、そうですね。うかつにも、言われてみて
初めて気付きました。

No title

cheerupさん

有難う御座います、光栄です
後の歌は自作です。

No title

wintetsuさん

うらみなしは原作にはありません。
無い頭を絞りました。

No title

花魁さん

酒ドランカーの、酔いよい頭で考えました。
有難う御座います。

No title

媛さん

特殊性のある小話になってしまいました。
すみません。

No title

てくっぺさんさん

のみひとしらずは原作です。
喜んで頂いて光栄です。

No title

かなさん

この返歌で、お酒が帰ってきたら、それこそ
江戸の粋ですね。
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毎日福笑。

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